【副業している会社員要注意】売上300万以下は事業所得ではなく雑所得に?

FP茂田
FP茂田

8/1に国税局から「売上300万以下の副業は事業所得ではなく雑所得にする」という通達の改正案が提出されました。今回はその内容についての解説です

✔︎記事の内容

  • 通達改正案の具体的な内容
  • そもそも通達とは何?
  • 対象者は?いつから適用?
  • この改正による具体的な影響と対策
  • 今まで通り事業所得で申告したらどうなる?
  • この場合はどうなる?

通達改正案の具体的な内容

以下、原文の一部を抜粋したものです
事業所得と業務に係る雑所得の判定について、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定すること、その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が 300 万円を超えない場合には、特に反証がない限り、業務に係る雑所得と取り扱うこととします。

実際の文章はこちらに貼っておきます↓

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000239211

 

お堅い文章なので簡単に要約します

事業所得と雑所得の判定は、世間一般的に事業と呼べるものかでまずは判断するよ。次にそれが副業で売上が300万以下の場合、本人からの反論がなければ雑所得として扱うよ。

そもそも通達とは何?

通達とは税務署側の解釈や行動の基準のようなものです

税法とはどう違うの?

税務の場合具体的な事例がかなり多く、それらに対して事細かく法律を定めることが難しいのでどうしても抽象的な表現が多くなってしまいます

FP茂田
FP茂田

「社会通念上」という言葉は、法律の世界でよく出てくる抽象的な表現の代表例です!

曖昧な表現は人によって解釈が違ってきます。当然税務署と我々納税者の間でも解釈が分かれることが多々あります

そこで、その曖昧な部分に対して「税務署としては〇〇に対してこう判断しますよ」と示したものが通達です

対象者は?いつから適用?

対象者は会社員をやりながら副業として他でも収入を得ている人です。専業の人やフリーランスの場合は今まで通り事業所得で問題ないです

そして2022年度の申告(2023年に確定申告するやつ)から適用です

でも改正「案」ってことは、まだ確定ではないでしょ?案が通らないことだってあるわけだし

FP茂田
FP茂田

もちろんその通りですが、過去に改正案がひっくり返ったことはほとんど無いのでほぼ確定と思っていいでしょう

この改正による具体的な影響と対策

今まで副業の売上を事業所得として申告していた人が、雑所得として扱われると

  • 損益通算できなくなる
  • 青色申告特別控除が使えなくなる

特に事業所得を赤字にして節税をしている人は、損益通算ができなくなるとかなり痛いです

対策はシンプルに売上を300万以上にすることです

幸い利益ではなく売上なので、ほとんど利益の出ない商品でも積極的に販売して売上を300万以上に持っていきましょう

ってことは、知り合い同士で互いにコンサルし合って売上をたて合えば楽勝だぜ!

FP茂田
FP茂田

それは売上操作なので、税務署に指摘されれば脱税と同じ扱いです!やるならその覚悟で!

 

売上300万以下で今まで通り事業所得で申告したらどうなる?

おそらく税務署から具体的にどんな事業なのかとお尋ねがくると思います

そして税務署に出向き事業内容を説明し、通達と照らし合わせ認めてもらうか雑所得として申告し直すよう指導されるかのどちらかでしょう

ただこのお尋ねは対象者全員に来るわけではなくランダムに選ばれた人だけに来るはずです

お尋ねが来なくても油断禁物

運よくこのお尋ねが来なかったからと言って、確定申告が認められたとはならないので油断禁物です

というのも、確定申告はルール上5年間さかのぼることができます

ということは、忘れた頃にやってくる可能性も十分あり得ます

そして忘れた頃にやってきて事業所得を否認されると、それ以前の確定申告も同時に否認されて全て修正するよう指導されます

そしてその修正後の納税額は不足しているはずなので、追加で納税することになります

そしてこの追加の納税は、本来納めるべき年に納めていない遅れた納税という扱いになり、延滞税も加算される可能性も十分あり得ます

5年分さかのぼられて追徴+延滞税になったらダメージでかすぎて立ち直れないよ

FP茂田
FP茂田

その通り!

なので改正案が通った場合、反論の余地がない限り潔くよく従っておいた方がいいと思いますよ

 

この場合はどうなる?

売上300万超えていれば会社員の収入より少なくても事業所得でいける?

A.300万以下の人に比べればお尋ねの可能性は低いものの、税務署側の基本的な解釈は会社員の収入よりも少ない=副業という扱いなので雑所得という解釈になります

 

専業でフリーランスだけど売上300万超えない場合は?

A.専業フリーランスの場合は売上300万以下でも事業所得で問題ないです

 

 

売上300万以下だけど反論して認められるケースって具体的にどんなケース?

A.例えばコロナの影響とかで、過去は300万以上あったが一時的に売上が下がっただけとかなら認めてもらえるかと思います

 

まとめ

  • 8/1に国税局から「売上300万以下の副業は雑所得にする」という通達改正案が提出された
  • 通達とは税務署の解釈や行動の指針
  • 対象者は副業している会社員で2022年度(次回の確定申告)から適用開始予定
  • 通達改正案は過去に通らなかったことがほぼないので、ほぼ確定と思っていい
  • 今まで事業所得で申告していた人が雑所得になると損益通算、青色申告控除が使えなくなる
  • 売上300万以下で事業所得として申告をすると税務署からお尋ねがくる可能性あり
  • お尋ねがすぐに来なくても油断禁物。税務は5年遡れるから後に来る可能性あり

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました