【専門家が答えにくいことに答えます】確定申告に関わる微妙で曖昧なQ&A5選

FP茂田
FP茂田

確定申告の近づく毎年この時期によくもらう質問への回答集です

ネットで検索しても見つけにくい微妙で曖昧なニュアンスの質問や、税理士さんや税務署などの専門家では答えにくい質問に答えてみました!

 

✔︎専門家が答えにくい微妙で曖昧なニュアンスの質問5選

  1. 副業で20万円以上収入があったんだけど確定申告しないとまずい?
  2. これって経費になる?(外食代、ゴルフ、旅行、ベビーシッター、在宅ワークでの家賃、水道光熱費、通信費等)
  3. 確定申告したら職場に副業がバレる?
  4. 領収書ないけど大丈夫?
  5. 実は個人事業しながら失業手当もらってました。確定申告したら違反がバレる?

 

FP茂田
FP茂田

税金の世界は税法である程度ルールが決まっているものの、そのルール自体が曖昧で解釈の違いにより正解が変わってきたり、ルールと実態が乖離していたりします。なので我々はルールの把握と同時に実態の把握もしておく必要があります。なので僕からの回答もルールと実態の両面から回答していきます!

 

Q.副業で20万円以上収入があったんだけど確定申告しないとまずい?

ルールでは給与以外の収入が20万以上の人は確定申告してねとなっています。なので20万以上の人が確定申告をしないのはルール違反であり、見方によっては収入を隠しているということで脱税と言っても過言ではありません

ただ実態はというと、税務署がみなんさんの収入源全てを把握しているわけでも、全てを取り締まるための包囲網もひいているわけでもないのでスルーされているケースがほとんどです。

もちろん額が大きくなればなるほど税務署の目にも止まりやすくなるので全て大丈夫と断言はできませんが、家の不用品をメルカリで売って数十万儲けたとか、友達の仕事を少し手伝って数十万もらったとか、個人事業の始めたてであまり稼げてないとかの小規模ケースは大体スルーされているのが実態かと思います

港区女子
港区女子

女子って髪やネイルやエステや服やバッグや化粧品やと何かと美容にお金がかかるじゃない~?だから昼間の仕事だけではとても足りず夜は銀座のクラブで働いてるのよね。そこの収入は年間20万は超えてるけどお小遣い程度だし申告しなくても大丈夫そうね!少し心配だったからよかったわ!

FP茂田
FP茂田

その判断は安易です!もう少し税務署側の立場を理解してから申告するしないを選択した方がいいかと!!

港区女子
港区女子

税務署の立場??

 

税務署はどうやってみんなの収入を把握しているのか?

皆さんが給料を貰っている会社やお店は、毎年税務署と市役所に誰にいくらの給料を払ったのかを必ず報告しています。これはルールなので税務に対して健全な会社やお店は当然きっちりやっています。なのであなたが申告をしていなくても税務署と市役所はその会社やお店からあなたに給料がいくら払われたかを知っているわけです。

にもかかわらずあなたから申告がされていないとなると矛盾してしまうわけです。そこを理解した上で額が小さいからスルーされるだろうにベッドするのかを判断した方がいいです。

ちなみに税務に対して健全なお店は給料は履歴の残る振込で支払い、給与明細も源泉徴収票も発行するはずです。逆に給料が手渡しだったり給与明細や源泉徴収票が発行されない会社やお店は、税務署に対してあなたに給料をいくら払ったというのを申告していないか、別の費用として申告している可能性が高いです。良し悪しはさておきその場合の収入は税務署や市役所に把握されていない収入となります

港区女子
港区女子

安心したと思ったらなんだかまた不安になってきたは、、、ちなみに給料もらってるのに申告しなかったことがバレた場合どうなるの?

FP茂田
FP茂田

税務署や市役所から通知がきます。ちなみに内容はこんな感じです

無申告ハナコ様へ

〇〇会社からあなたに〇〇円払ってるみたいですが申告されていないようですね。このままだと一切の経費は認めずにこのままの額をあなたの収入として加算し税金を再計算し、不足分の所得税住民税に関しては別途請求しますのでよろしくどうぞ!

 

 

FP茂田
FP茂田

ちなみにこれは、僕のクライアントさん宛に市役所から実際に届いた通知です。

そしてこの通知は、申告をしなかった年にすぐ来るとも限らず、大体は数年後の忘れた頃にやってきます。すると税金の不足額に延滞税的なものを加算されて請求されることになるんです!

港区女子
港区女子

ぎゃー、一気に不安になってきたわ。。。

FP茂田
FP茂田

申告しなくても大丈夫と安易に判断せずに、税務署、市役所の立場やどんなリスクがあるのかを把握した上で判断することをおすすめします!

 

 

 

Q.これって経費になりますか?
(外食代、ゴルフ、旅行、ベビーシッター、在宅ワークでの家賃、水道光熱費、通信費等)

ルールでは収入を得るために直接必要な費用は経費として認めるとなっています。

この直接必要な費用というのが曖昧なので迷う人が多く、この質問が一番多くもあり、一番答えにくい質問でもあります。

というのも、同じ経費でも事業内容や金額や回数によって認められる人もいれば認められない人もいて、最終的には税務署の判断によることがほとんどだからです。

よく「知り合いの社長が〇〇代を毎年経費で落としているって言ってたから大丈夫」という人がいますが、あなたも同じように認めれるかどうかは分かりません。また、実際には認められないような経費でも税務署がスルーしているだけのケースもはかなり多いのが実態です。例えばスーツの購入代金を衣装費として経費にしている人で税務署から指摘を受けたことがある人は少ないと思いますが、実際には認められない代表的な経費項目です。他にも美容室代もモデル業をしている人ならまだしも、その他の事業は認められないでしょう。

結局のところ税務調査が入ってみないと、本当の意味で認めらたかどうかは誰にも分からないということです。

僕から言えることは、そもそも確定申告というのは自己申告制の主張なので、自分が事業に直接関連する費用だ!この費用あっての売上だ!と思うのなら申告しましょうということです。

おそらく大半はスルーされるだろうし、仮に税務署から指摘された場合はしっかりと説明すればいいのです。説明した結果、認められるかもしれないし、認められない場合は潔く修正申告すればいいのです。

以上を踏まえた上で回答していきます

ゴルフのプレイフィー

ゴルフあっての売上だと主張するには取引先の接待か、取引先と会議室や喫茶店ではいかにも感がでてしまうので、ゴルフをしながら気軽に仕事の話をしたり、仕事に関連する人を紹介しあったと主張できると経費になる可能性もあるかと思います。

ただ、過去の判例で否認されているケースもあります。否認された理由は、それってゴルフじゃなきゃダメなの?という指摘や、年100回くらいのゴルフだったことによりそれは仕事じゃないでしょとの指摘でした。

ゴルフ代は経費になる可能性はあるが、金額と回数によっては否認される可能性もありといった感じです

レストランや居酒屋での飲食代

クライアントや取引先と打ち合わせや面談で会議室を使うのは堅苦しいので食事をしながら行ったという主張は一般的です。例えばそれが友達との飲み会だった場合は当然ダメですが、そこまで細かく追求されることも少ないというのが実態です。営業職等、面談や打ち合わせ無しには仕事にならない職種の人ほど経費化しやすいです。

もし指摘される場合は、どんな人たちとどんな内容の打ち合わせだったのかを説明することになるでしょう。

旅行の交通費や宿泊費

完全に仕事だけの出張でなら、往復の交通費とホテル代は経費になります。仕事は一泊二日で終わったけど、せっかくだからもう一泊して観光を楽しんだという場合、ルール上は一泊二日分のみが経費で最終日はダメですが、そこまで追求されることも少ないというのが実態です。

ベビーシッター代

子供がいては仕事にならない。仕事をするためにベビーシッターに預けるのだから当然経費だという主張です。一見理屈は通っているように感じますが、税務署はこれを認めていません。子供をどうするかは家庭の事情であって、それによって事業をしているわけではいないでしょ?という見方の様です

在宅ワークでの家賃、水道光熱費、通信費

事務所なら完全に仕事で使うので経費になりますが、自宅兼事務所となると日々の生活費も混在するので全てを経費にすることはできません。以下税務署の文章です。

交際費、接待費、地代、家賃、水道光熱費、通信費等の生活する上でかかる費用と混在している場合は、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額のみ経費として認めます

 

要するに自宅の何%を仕事として使ってるの?ということを明確に示して、その分だけ経費として認めるということです。その何%というのは、自宅全体の面積に対して作業部屋がどれくらいの広さなのか、または1ヶ月のうち何日分の時間を仕事として使っているのかから割り出します。実際にはここまで厳密にやっている人よりも、なんとなく50%くらいかな〜と経費にしていることが多いと思います。

 

Q.確定申告したら職場に副業がバレる?

確定申告をすることにより住民税が変化するので、それによってバレる可能性はあります。

会社は毎年あなたにいくらの給料を払ったのかを市役所に報告をしています。そしてその金額をもとに市役所で住民税が計算され、住民税決定通知が会社に届ます。そして会社はそこに記載されいる住民税額をあなたの毎月の給与から天引きしていきます。なのでそこで住民税が変化していると「あれ?おかしいぞ」となるわけです

ただ大企業の人はそこまで警戒しなくてもいいのでは?と僕は思っています。というのも、実際にその経理処理をしている社員さんは膨大の量を流れ作業で淡々とこなしているでしょうし、多くの社員がいてそれぞれ役職や残業代によって年収にばらつきが出るのも普通のことであまり気づくことはないのではと思います。また、実際に何か気付いたとしてもそれをわざわざ上司に報告する人も少ないんじゃないかなと思います。

注意が必要なのは家族経営のような小さな会社や社会人一年目の場合です。小さい会社の場合、社員数も少ないので異変に気付きやすいでしょうし、社長が近くにいる環境ですぐに報告できます。また、社会人一年目だと同期はみんな同じ年収なので、一人だけ住民税が違うと分かりやすいはずです

FP茂田
FP茂田

ちなみに僕は社会人1年目に某メガバンクに勤めながら副業で今の仕事をしていて、確定申告をしました。同期の住民税と明らかに違いましたが特に何もなかったです!

 

 

一応対策あり

心配な人は100%大丈夫なわけではないですが一応対策があります。

それは確定申告の時に住民税の払い方を選択する項目があるので、そこを自分で納付するにします。すると会社から毎月給与天引きではなく、自分で納付書で払うことになるので住民税を把握されません。

ただこのやり方は100%大丈夫とは言えません。確かに住民税が把握されなくはなりますが、そもそも会社から給与天引きが普通なのになぜこの社員だけは自分で納付してるんだろう?という疑問を持たれる可能性があります。

また、確定申告で自分で納付を選択したはずなのに市役所側のミスで普通に会社に通知がいき、給与天引きされることもあります(確実にやるためには確定申告後に市役所に連絡をして自分で納付するに変更されているか確認した方がいいです)

この辺りを踏まえてどうするかを判断しましょう!

Q.領収書ないけど大丈夫かな?

ルールでは7年間保存となっています。

実際には確定申告時に、提出するわけではないので無くても大丈夫です。ただ税務調査になった場合、例えば何かの経費項目を指摘された場合にその領収書がないと認めてもらえない可能性が高くなります。

でも税務調査って滅多にこないんだろ?

FP茂田
FP茂田

小規模な個人事業主の9割の人は税務調査を経験することはないと思います。だから、ルール通りに領収書を保管していても使うことなく終わる可能性が高いです。万が一税務調査になった場合に備てなるべく取っておきましょうと言った具合です!

 

ちなみにレシートでもいいの?

FP茂田
FP茂田

レシートでもOKです!重要なのはいつ、どこで、何を、いくらで買ったのかが分かるものを残しておくということです!

 

Q.実は個人事業しながら失業手当もらってました。(不正受給状態)確定申告したら違反がバレる?

質問した人は、確定申告することによって事業をしていたことが明るみになり貰った失業手当を返金しないといけなくなるのではと心配をしている状態です

失業手当は失業者だからこそもらえる手当であって、事業をしていたことが明るみになれば当然失業者ではなかったことになるので不正受給となり罰として受け取った受給額の3倍を返金することになります

ポイントは確定申告をすることにより失業手当の管轄であるハローワークが事業実態を把握できるのか、ということです

以上を踏まえた上での僕の回答です

できないことはないけどおそらくほとんど気づかないと思います。念を押しますが「おそらく」です。というのも、税務署とハローワークは連携は取れるものの連動は今はしていないであろうからです。連携は取れるけど連動していない状態では、ハローワーク側から税務署に〇〇さんの所得を教えてと頼めば教えてもらえるけど、連動しているわけではないので失業手当を受給しているのに所得がある人(不正受給者)をピックアップしたりはできないということです。つまり密告等でマークをされなければ税務署にわざわざ照会することはないだろうから、おそらく気づかないという推測です

しかしこれは「今は」の話で、今後連動するのも時間の問題かと思います。

管理をする側からすると失業手当以外にも役所業務や社会保険業務など、所得と連動していることが結構あるのに所得を把握している税務署と連動していないことが非効率だと以前から問題視されていました

その他にも個人資産を把握している銀行と税務署が連動していないことも非効率です

そこで導入されたのがマイナンバー制度です。その辺りを全て連動させて業務効率化を図ろうとしているわけです。

まだまだ普及段階でマイナンバーカードも全国民に行き渡ったわけではなく仕組みも整っていませんが、そう遠くない未来には全てが連動して、不正している人を簡単にあぶり出せる様になっていくと思います

 

最後に一言

僕は税理士でも税務署でもありませんので、皆さんに正しく確定申告をしてほしいとは思っていません。かといって、不正を手助けする立場でもありません。

ルールと実態を理解してもらい、権利である確定申告を皆さんがどう使うか判断するお手伝いができればという思いでこのブログを書きました

冒頭でもお伝えした通り、税金の世界は明確に線引きされていることばかりではなく、個々の解釈や税務署の解釈によって正解がいくらでも変わるような微妙で曖昧なことが多々あります。

確定申告は自己申告であり、権利です。自分の中で筋が通っているのであれば、どんどん主張していきましょう!

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