税務署に狙われやすい確定申告書

毎年確定申告をしていて一度も経験ないけど、税務調査ってどんな人に入るの?やっぱり脱税してるっぽい人?

別に悪い事してるわけじゃないけど、ミスなく正しく申告できている自信もないからなんか嫌だわ。もし入られたら必ず何か指摘されて税金取られるの?

 

 

FP茂田
FP茂田

確定申告をしているほとんどの人が経験したことのないけど、何となく気になる税務調査。別に脱税をしているわけではないけど何か怖い印象がありますよね!

今回は税務調査について僕自身の経験やクライアント事例や税理士さんに聞いたことを元に解説していきます

 

✔︎記事の内容

  • そもそも税務調査とは
  • 税務署に狙われやすい申告書の特徴7選
  • 調査されやすい具体的な内容4選
  • 税務調査にまつわるQ&A

 

そもそも税務調査とは

脱税している人を調査してあぶり出すイメージがありますが、実際の名目は正しく申告が行われているかのチェックや指導になります

調査は大きく分けて任意調査と強制調査の2種類あります。

ドラマとかでよく見かける、急に自宅に令状持って押しかけてきて家の中の物を箱詰めして持っていかれるようなやつは強制調査の方で、脱税の容疑があり金額も数億円規模の話になります

FP茂田
FP茂田

この記事を見ているみなさんはおそらく無縁だと思うので、今日は任意調査を中心に解説していきます

任意調査は税務署から事前に連絡があり、日程調整をし自宅やオフィスに税務署員が来るパターンと税務署に出向くパターンがあります。

税務署に出向くパターンは税務調査よりもやや優しい印象で、「〇〇の項目が気になるから説明してくれ」という書面での通知が届きます

税務署に狙われやすい申告書の特徴7選

税務調査に入るところを決める際、税務署はKSK(国税総合管理システム)というシステムを使って調査先を選びます

このシステムにはみなさんの申告した内容が過去数年分保存されていて、どの税務署からも閲覧可能になっています

その中から特定の特徴的な申告書をリストアップし、そこから担当税務署員が年間30件くらい選んで調査に入ります

つまり税務署に狙われやすい申告書というのは、この特定の特徴的な申告書になっているという事です

以下狙われやすい申告書の特徴です

  • 売上や経費の変動が前年と比べ激しい
  • 同業種と比べ数字の乖離が大きい
  • あえての白色申告
  • 毎年売上がぎりぎり1,000万円以下
  • あまりにも低所得&高所得
  • 税理士がついていない法人
  • 現金のみの商売

詳しく解説していきます

売上や経費の変動が前年と比べ激しい

通常売上が大きく伸びたら利益も大きくなり納税額が増えるのが普通ですが、売上が大きく伸びたのに、経費も大きくなり結局利益変わってないもしくは減っているとなると完全に怪しいとなります

同業種と比べ数字の乖離が大きい

税務署には膨大なデータがあるので、各業種の平均的な売上やどんな経費がどれくらい使われるているかは簡単にわかります。その数字と大きくかけ離れた売上や経費項目があると何か怪しいとなります

あえての白色申告

青色申告には所得控除という税金が安くなる恩恵があるにもかかわらず、それを使わない合理的な理由(所得が少なくてそもそも控除のメリットがないとか)がないにも関わらず白色で申告していると何か怪しいとなります

毎年売上がギリギリ1,000万円以下

これは消費税の課税対象業者のラインが売上1,000万円というのが関係しています

売上が1,000万円を超えて消費税課税対象業者になると2年後から消費税を納めなければいけないというルールがあります。もしあなたの売上が1,010万円だったらどんな気持ちになりますか?10万円くらい隠してもバレなさそうな売上はないかなとなるのが人間の性です

毎年ギリギリ1,000万円以下ということは、調整して売上除外してそうと疑われます

あまりにも低所得&高所得

同業種と比べあまりにも高所得の場合は、不自然&調査入ったら税金取れそうと思うだろうなと想像つきます

反対にあまりにも低所得が何年も続いている場合は「この人どうやって生活してるの?」となり、やはり目をつけられます

税理士がついていない法人

個人の確定申告は税理士無しで申告している方も多くいますが、法人の申告ともなるとかなり煩雑でさすがに税理士無しはかなり大変です

当然ミスや不適切な会計処理も多々あるだろうと想像がつくので税務署の目に留まりやすいです

現金のみの商売

記録の残らない現金のみでのやり取りになるので売上除外が簡単にできてしまいます

調査に入って現金出納帳をチェックすればいい加減な経理をしている事業主なら簡単に指摘できそうと税務署は思うわけです

現金出納帳もしっかり記帳しておけば、現金商売の売上除外なんて調べようないから脱税は楽勝だろ!

FP茂田
FP茂田

甘いですね!

怪しいと疑われた店には事前に税務署員が客を装い何度かサービスを受け、その際に領収書をもらいます。そして調査時にその領主書があるかのチェックをし、無い場合売上除外がそこで発覚します

 

調査されやすい具体的な項目4選

  • 外注費、支払手数料
  • 決算直前の売上、仕入れ
  • 交際費
  • コンサル費用

外注費、支払手数料

架空外注費は脱税の定番ともいえる手法なので、例年と比べ大幅に増えていると当然疑われます

実際に外注先に支払っている場合は、外注先でしっかり売上として計上されているかのチェックが行われます

これを反面調査と言います

反面調査の結果外注先で売上計上されていないと、架空の外注もしくは外注先が売上除外しているとなるわけです

決算直前の売上、仕入れ

人間の心理として当然売上は減らして経費は増やしたいとなるので、決算月の売上は翌月にずらして来期の売上にしたい、そして来期の仕入れはなるべく今期中にしたいとなります

毎月の売上や仕入れと比べ決算月だけ変動が大きいと当然疑われます

ちなみに仕入れは売れたタイミングで初めて経費として計上できるので、決算直前に焦って大量に仕入れても、その年度中に売れていなければ結局は来期以降の経費になるので全く意味ないです

交際費

プライベートの出費と混在しがちなので交際費が大きいと当然疑われます

なるべく大きくなりすぎないように勘定科目を分けることをおすすめします

コンサル費

コンサルタントはとても広義で曖昧な表現がゆえに、使う側からしたら解釈次第で何でもかんでもコンサルと言えてしまう側面がありかなり乱用している人がいます

例えばプライベートで通うパーソナルジムや親しい事業者から何かの指導を受けたことにしてコンサル費にしたりします

そしてコンサル費は相場自体もあってないようなものなので、架空の経費として使い勝手もいいです

上記の事情は当然税務署も分かっているので、コンサル費が大きい場合は必ずといっていいほど調査項目になるわけです

番外編:税務調査で必ず聞かれる質問

税務調査はいきなり本題に入る前に雑談タイムがあります

そこで聞かれるのが事業内容、家族構成、趣味、主な取引先です

後々具体的に調査する際にプライベートの出費を経費にしていないかの判断基準にするためです

この旅費は家族旅行ではないか?このゴルフは趣味ではないか?この取引先はただの友人ではないか?この経費は事業内容と関係ないのではないか?

全ては調査に必要な雑談なのです

税務調査にまつわるQ&A

Q.調査は何年目に来るの?

A.特に決まってません。税務調査は基本過去3年間調べるので起業1、2年目はまず来ないと言われています。つまり4年目以降はいつきてもおかしくないと思っていいでしょう

調査が入る時期は概ね決まっていて、個人事業主の場合は7〜12月、法人の場合は決算月によって違います。2〜5月決算は7〜12月、6〜1月決算は3〜5月に入ると言われています

Q.赤字の場合は調査に来ない?

A.黒字の事業主よりは確率低いですが、来ないわけでは決してないです。毎年赤字の申告書の場合、どうやって生活しているの?と当然なるのでその場合は来ても何ら不思議ではないです

Q.調査入られたらお土産渡した方がいい?

FP茂田
FP茂田

一応補足ですが、お土産とはお菓子とかの手土産のことではなく、調査に対する修正項目や追徴課税の事です!

A.むしろ渡すと疑われます。一昔前は「調査に来て何も無しでは調査員のメンツもたたん。粘って大きな追徴課税くらう前に小さな指摘項目を渡して早く帰ってもらおう」みたいなのがあったみたいですが、今はこんなことしたら逆に「何か隠しているのでは?」と疑われます。

正しく申告できているのであればそれが一番いいので、なるべく手ぶらで帰ってもらうようにしましょう

Q.国税OB税理士は有利?

FP茂田
FP茂田

通常税理士資格を得るには難関試験に合格する必要がありますが、税務署に23年以上務めると税理士資格が貰えるという特例があります。それを利用し定年退職した元国税の人が「税務署に顔がきく税理士」として開業することがよくあります!

A.昔はあったみたいですが今は全く無し。脱税に加担して捕まる税理士がよくニュースになりますが、大体は国税OB税理士です。自分は国税の後輩に顔が効くと思って脱税加担したら、普通にダメだったという事です

 

Q.調査の結果、修正があった場合どれくらい追加で税金払うの?

A.修正項目により変わります

  • 過少申告により追加で納税が発生した場合

→追加で納税+過少申告加算税(追加納税額の10〜15%)+延滞税7〜14%

 

  • 所得隠し等、悪質と判断された場合

→追加で納税+重加算税(追加納税額の35%)+延滞税7〜14%

ちなみに重加算税が課されるとブラックリスト入りになり、その後3〜4年に一度くらいのペースで税務調査に入られるそうです。

FP茂田
FP茂田

よく「うちは3年に1回は税務調査が来る。儲かってるから税務署がマークしてるって事かな!」と自慢気に話している経営者がいますが、過去に脱税したと言ってるようなものです、、、

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